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いつだってそうなのだ。
自分はこうも上手く生きていく事が出来ない。
仲間を失ったあの時から、後悔の連続だ。
どうして生き残ってしまったのか?
どうして自分はこうも、意地汚く、生きる事に貪欲なのか?
それももう終わる。
やっと終わらせる事が出来る。
もう殆ど周りが見えない。
自分のこの重い目蓋が、開いているのか、閉じているのかも分からない。
死にいく時は真っ暗だと思っていた。
でも違うんだな。
何だか白い。
あぁ、ポッポちゃんの色だ……。
『生きることを諦めるか?黒鴉。』
白い世界に声が響いた。
誰だ!?
フワリと視界が開けたような気がした。
風に揺れる白い髪。
白い姿。
ポッポちゃん!?
違う……誰た?
『いい加減、あいつを連れ戻しにきたが……妙なのに出会ったな。あいつの悪戯に苦しむ哀れな鴉。』
なんだこいつ…。
『ここで生きるのを諦めるか?それともまだ縋ってみせるか?』
…………。
『答えろ、最後の黒鴉。死か!?生か!?』
…………。
遠くから小さな羽ばたきの音が聞こえる気がした。
愛しい鳴き声が聞こえる気がした。
俺は………
「生きたい……!!俺は生きたい!!ポッポちゃんと離れるのは嫌だ!!」
カラシュは叫んだ。
叫んだつもりだったのかもしれない。
声など出ていなかったかもしれない。
それでも、白い影は答えた。
『最後のチャンスだ。この僅かな力で、耐え抜いてみせろ!』
心臓がドクリと跳ねた気がした。
重い目蓋が現実に開いた。
視界が戻る一瞬の閃光。
その中で、幻の様に身を翻した人物の顔を垣間見た気がした……。
「シルバ!!」
現実の声がカラシュを呼ぶ。
愛しいその声。その姿。
「……ポッポちゃん‥‥‥。」
思わず呟く。
シルバの演技も出来ず、カラシュのままで。
赤い瞳が揺れる、目には一杯の涙が満ちている。
ああ、やっぱり泣かせてしまう。
彼女の瞳には、今にも力尽きそうな白鳩の姿が映っているのだ。
「ぐっ…」
左胸に走る激痛に思わず呻いた。
もう痛みすら感じなくなっていたと思ったのに。
こみ上げてきた赤い液体が、口を伝って落ちていった。
「シルバ!シルバ!!」
必死で叫ぶ彼女が悲しい。
違うのに、俺はシルバじゃないのに。
「……そんなに悲しまなくてもいい………。」
違うから、君の愛しい人じゃないから。
「違うんだ……ポッポちゃん………違うんだよ………。」
顔に落ちてくる雫。
何度も何度もポタポタと落ちてくる。
止めてあげたいのに、どうして良いのか分からない。
ゆっくりと気力を振り絞り、ポッポの頬に手を伸ばそうとする。
その手をポッポが握りしめ、自分の頬に愛おしそうに悲しそうに触れさせる。
カラシュが呻いた。
小さく震える声が絞り出される。
「誰か、お願いします。この呪を…解いて………!」
その言葉に、ポッポが首を左右に振った。
「ごめんなさい!ごめんなさい!!ちゃんと、ちゃんと見るから!!」
泣き叫ぶ様に、悲痛な声が響く。
「ちゃんと、現実を見るから!!お願い、死んじゃ嫌だ!!………カラシューーー!!」
乱れた髪を揺らしながらクククと笑う。
荒い呼吸をしながら、その様子をユーチャが険しい視線で見遣る。
「随分と迎えにくるのが遅かったじゃないか……神よ……。」
ユラリと上体を起こした魔王が、視線を宙に漂わせて呟く。
「あまりに遅かったから、退屈だった……もう、帰ってやってもいいぞ?」
幻でも見ているかのような魔王の言動に、ユーチャは状況が分からず緊張を深めた。
隣でペン・ギンが耳をヒョコヒョコさせたかと思うと、魔王の視線の先をじっと見つめる。
「カミュ、遅いクマよ。」
ユーチャの眉間のシワが深くなった。
自分にだけ何かが見えていない……?
「さて、最後にしようか、勇者。」
不意に来た魔王の問いかけに、ユーチャが剣をチャキッと構え直した。
「意味が分からん……だが、答えは決まっている。魔王、お前を倒すのみだ!」
泣きじゃくりながら、何度も何度も呼ぶ声。
「カラシュ、カラシュ……死んじゃ嫌だよ…。もうポッポは一人になりたくない……シルバみたいに…死んじゃ嫌だ!」
ポッポの泣き声に、カラシュの目が見開かれた。
どういう事だ?
どうして、ポッポちゃんが自分の名前を呼んでいるんだろう?
「ちゃんと見るから。ちゃんと現実を見るから。…だからまた笑って…カラシュ。また優しく笑ってよ、カラシュ!」
ずっと望んでいた。
君の声が、自分の名前を呼ぶ事を。
ずっと望んでいた。
君の瞳に、この黒い翼が見える事を。
「ありがとう……ポッポちゃん………。」
そこまで言って声を詰まらせる。
止まる事なく口から流れ出る血にむせながら。
でも、嬉しさで涙が溢れてくる。
「がんばって、カラシュ!がんばって!!」
「………うん。」
頑張るよ………まだ……。
君の瞳に映る事が出来たんだから……。
また霞んできた視界。
白んでいくその視界の端に………眩しい光が瞬いた。
ポッポが思わず魔王の城を仰ぎ見る。
淀んだ空が裂け、まばゆい光が照らす
天に木霊する竜王の咆哮が響き渡った
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自分はこうも上手く生きていく事が出来ない。
仲間を失ったあの時から、後悔の連続だ。
どうして生き残ってしまったのか?
どうして自分はこうも、意地汚く、生きる事に貪欲なのか?
それももう終わる。
やっと終わらせる事が出来る。
もう殆ど周りが見えない。
自分のこの重い目蓋が、開いているのか、閉じているのかも分からない。
死にいく時は真っ暗だと思っていた。
でも違うんだな。
何だか白い。
あぁ、ポッポちゃんの色だ……。
『生きることを諦めるか?黒鴉。』
白い世界に声が響いた。
誰だ!?
フワリと視界が開けたような気がした。
風に揺れる白い髪。
白い姿。
ポッポちゃん!?
違う……誰た?
『いい加減、あいつを連れ戻しにきたが……妙なのに出会ったな。あいつの悪戯に苦しむ哀れな鴉。』
なんだこいつ…。
『ここで生きるのを諦めるか?それともまだ縋ってみせるか?』
…………。
『答えろ、最後の黒鴉。死か!?生か!?』
…………。
遠くから小さな羽ばたきの音が聞こえる気がした。
愛しい鳴き声が聞こえる気がした。
俺は………
「生きたい……!!俺は生きたい!!ポッポちゃんと離れるのは嫌だ!!」
カラシュは叫んだ。
叫んだつもりだったのかもしれない。
声など出ていなかったかもしれない。
それでも、白い影は答えた。
『最後のチャンスだ。この僅かな力で、耐え抜いてみせろ!』
心臓がドクリと跳ねた気がした。
重い目蓋が現実に開いた。
視界が戻る一瞬の閃光。
その中で、幻の様に身を翻した人物の顔を垣間見た気がした……。
「シルバ!!」
現実の声がカラシュを呼ぶ。
愛しいその声。その姿。
「……ポッポちゃん‥‥‥。」
思わず呟く。
シルバの演技も出来ず、カラシュのままで。
赤い瞳が揺れる、目には一杯の涙が満ちている。
ああ、やっぱり泣かせてしまう。
彼女の瞳には、今にも力尽きそうな白鳩の姿が映っているのだ。
「ぐっ…」
左胸に走る激痛に思わず呻いた。
もう痛みすら感じなくなっていたと思ったのに。
こみ上げてきた赤い液体が、口を伝って落ちていった。
「シルバ!シルバ!!」
必死で叫ぶ彼女が悲しい。
違うのに、俺はシルバじゃないのに。
「……そんなに悲しまなくてもいい………。」
違うから、君の愛しい人じゃないから。
「違うんだ……ポッポちゃん………違うんだよ………。」
顔に落ちてくる雫。
何度も何度もポタポタと落ちてくる。
止めてあげたいのに、どうして良いのか分からない。
ゆっくりと気力を振り絞り、ポッポの頬に手を伸ばそうとする。
その手をポッポが握りしめ、自分の頬に愛おしそうに悲しそうに触れさせる。
カラシュが呻いた。
小さく震える声が絞り出される。
「誰か、お願いします。この呪を…解いて………!」
その言葉に、ポッポが首を左右に振った。
「ごめんなさい!ごめんなさい!!ちゃんと、ちゃんと見るから!!」
泣き叫ぶ様に、悲痛な声が響く。
「ちゃんと、現実を見るから!!お願い、死んじゃ嫌だ!!………カラシューーー!!」
乱れた髪を揺らしながらクククと笑う。
荒い呼吸をしながら、その様子をユーチャが険しい視線で見遣る。
「随分と迎えにくるのが遅かったじゃないか……神よ……。」
ユラリと上体を起こした魔王が、視線を宙に漂わせて呟く。
「あまりに遅かったから、退屈だった……もう、帰ってやってもいいぞ?」
幻でも見ているかのような魔王の言動に、ユーチャは状況が分からず緊張を深めた。
隣でペン・ギンが耳をヒョコヒョコさせたかと思うと、魔王の視線の先をじっと見つめる。
「カミュ、遅いクマよ。」
ユーチャの眉間のシワが深くなった。
自分にだけ何かが見えていない……?
「さて、最後にしようか、勇者。」
不意に来た魔王の問いかけに、ユーチャが剣をチャキッと構え直した。
「意味が分からん……だが、答えは決まっている。魔王、お前を倒すのみだ!」
泣きじゃくりながら、何度も何度も呼ぶ声。
「カラシュ、カラシュ……死んじゃ嫌だよ…。もうポッポは一人になりたくない……シルバみたいに…死んじゃ嫌だ!」
ポッポの泣き声に、カラシュの目が見開かれた。
どういう事だ?
どうして、ポッポちゃんが自分の名前を呼んでいるんだろう?
「ちゃんと見るから。ちゃんと現実を見るから。…だからまた笑って…カラシュ。また優しく笑ってよ、カラシュ!」
ずっと望んでいた。
君の声が、自分の名前を呼ぶ事を。
ずっと望んでいた。
君の瞳に、この黒い翼が見える事を。
「ありがとう……ポッポちゃん………。」
そこまで言って声を詰まらせる。
止まる事なく口から流れ出る血にむせながら。
でも、嬉しさで涙が溢れてくる。
「がんばって、カラシュ!がんばって!!」
「………うん。」
頑張るよ………まだ……。
君の瞳に映る事が出来たんだから……。
また霞んできた視界。
白んでいくその視界の端に………眩しい光が瞬いた。
ポッポが思わず魔王の城を仰ぎ見る。
淀んだ空が裂け、まばゆい光が照らす
天に木霊する竜王の咆哮が響き渡った
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第12弾にょろん。
くさいよ〜。
書いている途中で吹き出しそうだよ〜。
シロピーが現実を見ました。
「立ったー!ク○ラが立ったー!」的な。
くさいよ〜。
書いている途中で吹き出しそうだよ〜。
シロピーが現実を見ました。
「立ったー!ク○ラが立ったー!」的な。
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