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心の赴くままに言葉を綴る、おかしな創作の空間
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白衣の二人。

立っていることすら、もう辛いのだろう。
白い翼を苦しげに揺らし、男の鳥人が地に膝を着けながらも必死に体勢を維持しようと足掻いている。
その傍らには女の鳥人。
顔色悪く、それでも必死に傍らの男に声をかけていた。

「シルバ、シルバ、しっかり、シルバ。」

答える様に、男の翼が数回だけ少し大きめに羽ばたかれる。

そのとき、まるでその弱った羽ばたきを嘲笑うかのように、上空から力強く風を切る羽音が響いた。
バサリ と、漆黒の翼が舞い降りる。

「何をしている?」

着地と同時に響いた問いかけは、この場のこの状況には不釣り合いな問いかけだった。
自分で問いかけておいて妙に可笑しく思えた黒き翼の主・カラシュは口元を歪めながら二人を見遣る。
見れば分かる、負の気に包まれ苦しんでいるのだ。

スタスタと地を歩き、二人の目の前まで近づく。
赤い瞳が4つ向けられる。
一対はしっかりとカラシュを捉えている。
もう一対は………見ているのだろう。だがその焦点は定まらない。

「視力を失ったか…?」

そう言って身を屈め、男の鳥人の眼前にぐっと自分の顔を近づけた。
しかしその瞳は、ただ虚しく開かれているだけの様子だ。
顔を背け横に視線を変える。
今度はしっかりとこちらを見る瞳にぶつかる。
顔色が悪いね…。
そして明らかに怯えた様子。

「他の種を見るのは初めてかい?」

口元に歪めた笑いを作りながら問いかければ、ただ震えて助けを求める様に傍らの男に寄り添うのみだ。
じっと眺めたが、いっこうに他の反応をしめさない様子に気分がしらけていくのを感じた。
同じ鳥人を見つけた好奇心で降り立ってみたが……もうどうでもいい。

「せいぜい足掻きな。」

そう告げて身を翻そうとしたとき、グッと翼の先を掴まれた。
その行為にむっとしてもう一度振り返れば、探る様に手を伸ばす男の様子。

「……鳥人…なのか!?」
「ああ、そうだが。」

面倒臭そうに答えてやれば、男の手はまたカラシュの翼に行き当たり、確認するかの様に触れてくる。
バサリと翼を動かし、羽先で男の手を払うかの様に叩く。

「…鳥人なら………お願いだ、ポッポを……この娘を安全なところに!」

スッと目を細めて見る。
どうやら本当に面倒臭い状況になりそうだ。

「頼むのはこの女だけでいいのかい?…あんたはどうする。」

男の顔が歪んだ。

「この娘だけでいい………私は、もう無理だ……。」
「フン!確かにな。」
「頼む、この娘はまだ助かる……お願いだ……。」
「見たところ、お前達はつがいの様だが……同じ鳥人ってだけで俺に大事な女を託すのか?」
「………つがいに……なる予定だった……約束していた……だが、もう……。」

カラシュは首を捻る。
これは本当に面倒臭い状況になってきたのではないだろうか?
男の傍らで怯える女を見た。
震える彼女の髪を優しく男が触れた。

「ポッポ、あの人に森の外へ連れて行ってもらえるよ…。」
「いや、いや!ポッポはシルバと一緒!ずっと一緒にいるの!」

……本当に面倒臭い状況だ。

「健気なことじゃないか。最後の時までご一緒してやればどうだい?」

カラシュのそっけない言葉に男の顔が歪む。
ぐっと手を握りしめる。
そして……

「ああ、ポッポ………私はずっと一緒にいるよ………!」

男の手が一瞬だけ光を帯びたかと思うと女の体に触れた。
女の意識がフッと途切れてその場に倒れ込む。
何事かとそちらに気を取られた隙に、今度はカラシュにその手が伸びる。
寸でで避け損ねたカラシュの翼に男の手が触れ一瞬だけ輝いた。
カラシュの顔に殺気が走る。

「貴様!!何か魔法を!!」

投げつけた怒鳴り声を受け止める相手は既に地に伏せ………事切れていた……。
最後の、本当に最後の力を振り絞った魔法の発動。

「くそぉ!!」

何をされたのか分からない……恐らく、気を失った女と対の魔法。
解除するにもこの女が必要になるかもしれない。
油断した!
死に損ないの弱々しい奴だと油断した!!
歯ぎしりをしそうなほどに苦々しく噛み締め、カラシュは地に伏せる女を抱き上げた。
フワリと軽く腕の中に収まる女を見遣り、舌打ちをする。

面倒なことになった……実に面倒だ……

そう思いながら、カラシュは力強く上空へ舞い上がった。
存外優しく女を抱いて…



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2回目だぁ………。
打ったまんま、読み返しすらしてません(汗)
文章の間がきっと最悪に違いないと思う……ああぁぁ
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